2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【2013年秋:認知症の兆し⑤~書道グループ展と私】

たぶん2013年の秋、母の書道グループ展のときだった。 姉は子供も預ける必要がない歳になっていて、3回目の離婚を父にひどく責められて以来、実家に近寄らなくなっていた。携帯電話も着信拒否にしていたから、その時に両親に関わっていた子供は私一人だった…

【2013年秋:認知症の兆し④~両親と兄・姉との関係】

兄一家と実家が決定的にこじれたのは兄の家が出来上がった時だ。 兄が実家に2世帯住宅を建てることなはなかった。 兄が実家から車で20分の場所に家を新築した15年前に、父と喧嘩をした母は、雨の日の夜に兄の家に家出してきたらしい。 母は、私が小学生の頃…

【2013年秋:認知症の兆し③~両親と兄・姉との関係】

兄との同居の件がこじれたのは、姉の事もあったのかもしれない。 姉は4回結婚をしている。 その頃の姉は、シングルマザーをしていながら助産師の学校に通い始めていて、姉の小学生の一人息子を実家に預けていた。 姉と義姉は険悪な中だったから、姉が実家に…

【2013年秋:認知症の兆し②~両親と兄・姉との関係】

【2013年秋:認知症の兆し②~両親と兄・姉との関係】 兄には妻と2人の子どもがいる。 兄が結婚した当初は、兄家族とも表面的には普通の付き合いをしていたと思う。 義姉は、両親とはあまり会話をしなかったが、元々とても無口な人だし、盆暮れ正月には家族そ…

【2013年秋:認知症の兆し①】

【2013年秋:認知症の兆し①】 母が認知症かもしれないと気づき始めたのは、いまから約5年半前の秋だ。 母は私が家を出た直後の55歳からスイミングと書道を習い始めた。 70歳半ばになっても趣味の活動は続いていて、水泳はクロール1時間、バタフライ1時間、計…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶⑦】

両親がなぜ結婚したのか、母方の祖母から聞いたことがある。 母はヒマワリのように背の高い、笑顔の似合う美人だった。私が当時の写真を見てもそう思うし、80歳を越えた今もそれは変わらない。 「あの時、淑子にはいい縁談がたくさんあった。でも、長女の旦…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶⑥】

あの頃の父は、月に2度くらい、20人近い工場の若い衆を家に呼んでは宴会をしていた。それはいつも突然なので、母は毎回大量の手料理をふるまい続けた。 母は不思議と愚痴も言わず、笑顔で酔客の相手をしていたように思う。 私は父の膝の中に座って宴会のエビ…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶⑤】

父はずんぐりのした背格好で、近くの工場に勤務していて、工場でのあだ名は『校長先生』だった。 父の実父は、父が小1の時に戦死した。父は自分の家族の話をしたがらないが、祖父は山奥の神社の神主だったという聞いている。父方の祖母は、夫を亡くした後、…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶④】

母は背が高い美人で、毎日にように近所の人を家に呼んで井戸端会議をしていた。 母は静岡県の県庁の側の家で育った。 大きな地主で、母の兄は本家を守りながら、死ぬまで貸しアパートが土地からの収益で暮らしていた。母の姉は、印刷工場を営む、のちに県会…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶③】

母にとっては『自分の親が買った家』であり、父の話では『自分の兄弟が建てた家』。 大きな松の木がある家。 瓦屋根を乗せた物置がある家。 裏庭には大きなイチジクの木。 私は家を離れるまでずっとその家で育った。 幼稚園生の私は、友人も作れず、他人と話…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶②】

母は「あまり自分になつかない子だった」と言ったことがあった。 3歳くらいまでの私の記憶の中の母は『布団で寝ている人』だった。 あの頃の父は、がっしりした体格の、私を溺愛してくれる人だった。 父はよくお酒を飲んだ。 父の口癖は『綺麗な女房、家、車…

【1970年~80年代:幼い頃の記憶①】

1973年、父が37歳で母が36歳の時に私は産まれた。 北山家には8歳上の兄と4歳上の姉がいた。 私はよく覚えていないが、母は私の産後は体調が悪く、3歳くらいまでは、祖母が静岡県からやって来て家事の手伝いをしていたらしい。 私は3歳くらいまでずっと隣の家…

【2018年12月20日19時:母からの電話⑤】

“お父さん、殴ったんですか?” “はい殴りました!” なぜか父は意気揚々と認める。 “殴ったんじゃだめだなあ、それはダメだ” ”家族はいますか?お子さんたちは?別居?“ “子供らはいますが、長男は工場で役職をしておりまして、長女は産婦人科の先生を” “ほお…

【2018年12月20日19時:母からの電話④】

受話器の向こうから、いつもは静かな実家にたくさんの人が集まっている様子がする。 “警察です。こちらから110番通報がありました。どうしましたか” “淑子の野郎、電話したな、いやあちょっと女房が我儘ばっかり言うもんだから叩いちゃって、なんでもないん…

【2018年12月20日19時:母からの電話③】

20歳になった末子の私が「26歳年上の自営業者と結婚して家を出る」と言った時は、父親に執拗に殴られ蹴られ、玄関に叩き落され、包丁を喉元に突き付けられた。元々父は私を溺愛していて「絶対に嫁に出さない」と言っていたし、高校卒業後の進路もすべて壊し…

【2018年12月20日19時:母からの電話②】

今日は母親のデイサービスの初日だった。12月4日介護保険の申請を行い、12月14日に認定調査が行われた。まだ介護認定は出てない。でも緊急で介護保険サービスを使わせてもらったのだ。父と母を離すために。父に休む時間を与えるために。 16時に帰ると聞いて…

【2018年12月20日19時:母からの電話①】

「お父さんが殴った!ひどい!ひどいの!お父さんが殴った」 2018年12月20日、母からの絶叫のような声が電話口から響いた。優しい娘なら心から心配をするだろうこの電話に、私は「またなの?勘弁してよ。一日中死にたい人の相談を聞いてきたんだよ、くたくた…