【2018年12月20日19時:母からの電話⑤】

 

“お父さん、殴ったんですか?”

“はい殴りました!”

なぜか父は意気揚々と認める。

“殴ったんじゃだめだなあ、それはダメだ”

”家族はいますか?お子さんたちは?別居?“

“子供らはいますが、長男は工場で役職をしておりまして、長女は産婦人科の先生を”

“ほお、長女さんはお医者さんですか!すごいですね”

また嘘だ。姉は助産師だけれど医者じゃない。父は後縦靭帯骨化症をいう病気だが、頭はしっかりしている。わざと、人が誤解しやすいように言うのが父だ。

 “ここ、ここに家族の連絡先が書いてあるぞ!”

居間の方にも警察官がやってきたようだった。

 

“あれ?電話通話中だぞ!もしもーし”

 

「はい、私は二女の純子です。今までの会話を聞いていました。父は日常的に母に暴力を振るっています。母は認知症で今年の5月に病院で診断を受けています。父が母に暴力を振るわないようにするために、そのために今日からデイサービスで日中は離れているように通所開始した所です。地域包括支援センターにも124日に相談し緊急訪問してもらってます。近所から連絡があったからです。一日中、父が草刈鎌をもって母を追いかけていて殺しそうだと。地域包括支援センターは真っ黒になった母の左腕を見ています」

私は警察官に今までのいきさつを説明し始めた。